「And during that time, in Fukushima …」は、福島から始まるサウンド共同プロジェクトです。 パートナー機関のINA GRM(フランス国立音響映像研究所)、ラジオフランスFrance Musique、Droits de Cité誌、webSYNradioラジオプログラム、そしてマルチメディア・ラボのAPO33による支援のもと開催されます。
福島第一原子力発電所の事故以降まもなくして、大友良英を中心に日本のアーティストたちが集まり、プロジェクトFUKUSHIMA!が生まれました。福島でのフェスティバル開催への呼びかけは瞬く間に世界中に広がり、ロンドン、ニューヨーク、バンコク、ソウル、シンガポール、パリなど、各地で連動したイベントが立ち上がりました。
私自身は、ニューヨークのThe Stoneで、これらのイベントの一環に関わる機会がありました。大友良英とジョン・ゾーンに協力し、2011年8月15日にThe Stoneで行われた世界的な音楽家たちのライブを、私が創立し運営するWebSYNradioというインターネットラジオで放送したのです。フェスティバルの後もプロジェクトFUKUSHIMA!とWebSYNradioの関係は続き、2012年に新たなプロジェクト「And during that time, in Fukushima …」を開催する運びになりました。 このプロジェクトの仕組みはとてもシンプルなものです。まず今年5月に軽量の機材を持って私が福島に赴き、現地に10日間滞在します。プロジェクトFukushima!の活動に参加している様々な人々と出会いながら、福島における日々の生活の音を録音します。また、私自身の録音作業と平行して、福島の音を広く募集し、フクシマ・オープンサウンド・ライブラリーを立ち上げます。
そして、このライブラリーに集められた音を用いた作品を世界各国のアーティストに委嘱し、それぞれの方法でこの問題に立ち向かい「そこ」と「ここ」の間に命綱を投げるように呼びかけます。
こうして創られた作品のセレクションは、9月にFrance Musiqueのスペシャルプログラムにて放送されます。これに伴い、ライブコンサートや会議など、多彩なイベントがフランスで繰り広げられる予定です。
このサウンド共同プロジェクトは、和合亮一、遠藤ミチロウ、そして大友良英によるプロジェクトFUKUSHIMA!宣言において提示された一つの方向に対して、私なりに忠実であり続けるための応答です。 「現実とどう向き合うかという視点と方向性を人々に示唆する力を秘めている音楽や詩やアートが必要だ」プロジェクトFUKUSHIMA!宣言